米国の利上げが始まり、不透明さを嫌った市場がリスク回避の流れに傾いています。メキシコペソも一旦は下落。その後は小康状態が続いています。
そんな中に出てきたのが「利上げで景気回復が遅れる」との噂。果たして噂は本当なのでしょうか。過去のメキシコペソの値動きから検証したいと思います。
- 利上げで景気が悪くなる!?
- 過去の金融引き締め時期に学ぶ
- 2018年に歴史は繰り返すのか
利上げで景気が悪くなる!?
昨年2017年まで下落が続いたメキシコペソ。原因は先進国の金融緩和が立て続けに続いたためです。新興国通貨は軒並み下落の憂き目に遭いました。しかし、米国QE3も昨年に終了。2018年からは利上げでバブルを押し込む展開に変わりました。
そんな中に出てきた噂が「利上げで景気が悪くなる」という説です。実は過去にも同様の傾向がありました。今回は、過去の経緯から噂の真相を確かめてみたいと思います。
過去の金融引き締め時期に学ぶ
過去の金融引き締め策で有名な例と言えば、2004年から続いた17回の米国利上げの歴史でしょう。当時、米国はITバブル崩壊の痛手から回復し、新たなバブルの目が生まれようとしていました。これに対し、米FRBの議長であったアラン・グリーンスパン氏は利上げを敢行。計17回に渡る政策金利の引き上げを実施しました。
金融引き締め策ですから、当然のことながら景気が悪くなり、新興国投資は途絶えると噂されました。しかし、実態は違ったのです。出て来た結果は、利上げの間中ずっとペソ買いのターンという実績です。
上記のチャートは、2004年から2006年前後までを追った、ドル対メキシコペソのチャートです。ご覧の通り、利上げの続いた間にひたすらにペソ買いがなされた事実を読みとることができます。当時はドルも買われていましたから、メキシコペソ>米ドル>日本円という図式が成り立っていました。メキシコペソが○○円を付けていた頃の話です。
ポイントは、ペソ買いトレンドの始まる前に大きな下落が一度あったことでしょう。これこそが「利上げで景気が悪くなる」というウワサが流れた時期なのです。しかし、ウワサはあくまで噂に終わりました。ふたを開けてみれば景気は緩やかに上昇。投資先を模索したファンドがメキシコを始めとする新興国に資金を振り向けた事実が残りました。
2018年に歴史は繰り返すのか
以上のような経緯は、過去の事実だけではありません。2018年の現在は、まさにFRBが米国金利を引き上げている真っ最中です。もっとも、当時と異なるのはFRBの構成メンバーにハト派が多く、利上げに慎重な面が見えることでしょうか。
それでも米国景気は順調に回復を遂げています。ここからはバブルの芽を押さえ込むために、徐々に金利の引き上げで過熱感を抑える必要がありますね。金融引き締めの流れは止まらないと考えます。
そうした環境で育ちやすいのが、キャリートレードです。ご存知の通り、米国の債権も株式も既に割高です。そこでファンドが目を付けるのは、通貨下落で割安感の強い新興国の株式や債権でしょう。それらの商品が買われれば、必然的にメキシコペソも上がるという寸法です。
2018年3月の段階では、まだ夏前の大イベントが控えています。ただ、機会を見ながらポジションは作っていきたいところですね。メキシコペソも利上げとなれば、スワップ運用が面白くなってきます。
そんな訳で、噂の検証を行ってみました。メキシコペソの運用に興味のある方は、おすすめFX口座の検討用に以下の記事もどうぞ。
この記事へのコメントはありません。