近年、メキシコペソを含む新興国通貨は下落の憂き目に遭っています。しかし、過去にはしっかりとしたペソ買いの長期トレンドが続いた時期がありました。2004年から2006年の出来事です。
歴史の過去に学べと言います。一体、世界経済には何があったのか。この辺の事情を探りながら、チャートを振り返っていきたいと思います。
- 2004年のペソ買いチャート
- 計17回の米国利上げが生んだもの
- 2018年は本格的な利上げ開始の年
2004年のペソ買いチャート
メキシコペソが買われ続けたチャート。まず、最初にコレを見ていきましょう。以下のチャートは、メキシコペソ対ドルの2004年から2006年を追った為替レートの推移です。
チャートはUSD/MXNですので下に行くほどペソ買いとなります。ご覧の通り、2004年の途中からは1年以上に続くペソ買いチャートとなっていることが分かります。非常に見事なペソ買いチャート。当時にスワップ運用をしていたなら、さぞかし儲かったことでしょう。
さて、こうしたペソ買いチャートのトレンドは一体どうした理由で生まれたのでしょう。そのヒントは、この時期の世界経済にありました。今回のテーマは「世界経済と高金利通貨」とし、メキシコペソが買われ続ける背景を追ってみました。
計17回の米国利上げが生んだもの
2004年から2006年の間に続いたメキシコペソの買いトレンド。この時期にピッタリ重なる経済イベントがありました。結論を書いてしまうと、米国の計17回に渡る政策金利の利上げです。
下記のチャートでは、利上げの続いた時期をペソ買いのトレンドの時期に重ねて書き込んでみました。利上げが始まってから急落を味わったものの、その後になだらかなペソ買いトレンドが続いたことが分かります。どうやら、利上げの後にタイムラグを設けてから、高金利通貨が買われたようですね。
ちょっと待て?と思われた方は、良い線をいっています。というのも、本来は米国の金利が上がると金利通貨は旨味を失うのです。実際、メキシコと米国の金利差は縮小し、その分のスワップポイントは目減りしたはずです。ですが、それを上回るペソ買いのニーズが生まれ、投資資金がメキシコに向かった結果がチャートに現れているのです。
メキシコペソのニーズが生まれた理由は、米国利上げで却って海外ファンドのリスクテイクの姿勢が強まったためです。ヘッジファンドは資金の借り入れをして運転資金を回しています。この点、国の政策金利が上がると銀行の貸出金利も上がり、借り入れの負担が増えるのです。増えた負担を補うためには、より高リスクの商品で利益を上げるしかありません。そこでファンドが目を付けた先がメキシコのような新興国投資という訳です。
残念ながら、その後の2008年には強すぎたリスクテイクの姿勢が仇となり、サブプライムショック(リーマンショック)が起こってしまいました。ただ、健全な利上げは米国の景気が良かった証です。もし、サブプライムローンのようなおかしな商品が生まれなければ、メキシコ経済はもっと多くの投資を引き付けたことでしょう。それくらい、当時の新興国投資はホットな市場でありました。
2018年は本格的な利上げ開始の年
さて、実は利上げは当時だけの話でもありません。2018年の現在、まさに米国は再び利上げを開始しています。「歴史は繰り返す」と言いましょう。再び、新興国投資がホットな市場となりそうです。
足元では、ビットコインという新たな投資先が開拓されてはいます。ただ、こちらの市場規模はまだまだ小規模。ヘッジファンドが本格的に利益を狙いに行けば、あっという間に市場は飽和することでしょう。飽和の先に見えるのは、バブルの破綻です。彼らの投資資金を受け入れる大きな受け皿が必要です。
最近は、企業もメキシコへの投資を強めています。トランプ旋風もなんのその。したたかな一部の日本企業もメキシコ拠点への投資を始めました。まだまだ成長余地のあるメキシコ経済は、今後の内需拡大も期待できます。
当然ながら、そんな流れが継続すればメキシコペソという通貨の需要も拡大します。2018年は本格的な米国利上げが始まる年です。是非とも、機会を見計らってスワップポジションを構築しておきたいものですね。長期のFX投資に興味のある方は、以下の記事も併せてどうぞ。おすすめのメキシコペソ口座を紹介しています。
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