10年間に渡るメキシコ中銀の金融政策と経済動向について解説したいと思います。
メキシコ中銀は他の新興国と比較して、素直な金融政策を取る国です。伝統的な金利誘導策に則り、インフレが進めば引き締め策、成長局面では緩和策を取ってきました。ところが、この10年は外部要因によって大きく主導権を奪われている状況です。
メキシコ中銀の政策金利と為替レートの推移を見ながら、経済動向について論じたいと思います。
- メキシコ中銀の金利政策動向
- メキシコペソと政策金利の相関
- 将来の為替レート予想
メキシコ中銀の金利政策動向
最初にメキシコ中銀の金利政策について、傾向・動向を把握しておきましょう。以下は、この10年間に渡るメキシコ政策金利の推移を示したグラフです。
メキシコ中銀は、他の新興国に比べて比較的、分かりやすい金融政策を取っています。具体的には、連続的な利上げ、変更なし、連続的な利下げの3フェーズで金利をコントロールしています。後述しますが、利上げ・利下げの時期と理由も明確です。
この数年間は、先進国による異次元緩和の煽りを受けて、利上げを余儀なくされています。世界的な金余りによるインフレの加速です。メキシコのような新興国では、どうしてもインフレが進みやすい傾向にあります。
メキシコペソと政策金利の相関
全段では、メキシコ中銀はインフレを抑えるために政策金利をコントロールしていることを述べました。その相関関係を見やすくするために、先のグラフに為替レートの推移を重ねてみましょう。以下は、メキシコの政策金利とペソの対ドルレートを示すグラフです。
2014年頃までは、中銀の施策がうまく機能していたことが分かります。為替レートは落ち着き、余裕の利下げ施策まで取りました。実際問題として、その選択肢は当時は正しかったと考えます。
問題となるのは、2014年以降です。2013年から始まった世界的な金融緩和策の煽りを受けて、新興国は軒並み為替レートが下落する憂き目に遭いました。メキシコだけではありません。トルコ・インド・ロシア・ブラジル等々、ほぼ全ての新興国から、アメリカを始めとする先進国に資本の回帰が進みました。
上記のグラフには、世界の動向が分かりやすいように著名な金融イベントを書き込んでみました。こうして見ると、メキシコペソの為替動向と中銀の政策意図がより一層分かりやすくなりますね。
将来の為替レート予想
さて、今回はリーマンショック後の10年間に渡る金融イベントをおさらいし、メキシコ中銀・メキシコペソの動向を振り返ってみました。もっとも、読者の方が興味あるのは今後の動向でしょう。
個人的には、ここからペソの為替レートは上昇に転じるものだと考えています。理由は金融緩和の縮小です。2017年現在、アメリカの量的金融緩和策は既に終了し、利上げ局面に移りました。欧州、日本は継続中ですが追加緩和は計画されず、むしろ縮小局面にすらあります。
全段までに述べた通り、現在の為替レートは金融緩和の煽りを受けて下落したと考えます。逆に言えば、金融緩和が終了すればフロンティア市場への投資が戻り、再び為替レートが元の水準に戻ることでしょう。
本ブログでは、そんな状況を予想して以下のようなトレード手法を紹介しています。今がメキシコペソの長期ポジションを仕込む時ではないでしょうか。
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