先日、トルコリラが大幅下落するという事態に陥りました。この影響が他の新興国通貨へも波及。通称「トルコショック」がメキシコペソにも及びました。
幸いにもメキシコペソは米国寄りの通貨で、下値は限定的となりました。将来、良い意味での押し目となるかも知れません。ただ、メキシコが同様の事態に陥ればどうなるか。その可能性を否定できるものはありません。
今回はトルコショックを例に、米国とメキシコの対立が生ずる可能性について論じたいと思います。
- トルコショックが新興国通貨に波及
- 新大統領就任で対立が深まる恐れも
- 大統領就任前なら良い押し目
トルコショックが新興国通貨に波及
2018年8月初旬にトルコリラが対ドルでUSD/TRY=5.0⇒6.0の大暴落を記録する事態がありました。一週間に10,000pipsの大暴落です。
事の次第は、米国がトルコに米国人の釈放を求めたことから始まります。トルコで無罪と思われる米国人牧師が拘留されていることを受け、トランプ大統領がトルコ側に釈放を要求したのです。当然、トルコサイドもおいそれとは応じません。事態は米国側からの経済制裁を匂わす発言にまで進展し、事態は混沌を極めました。
この通称「トルコショック」が他の通貨にも波及しました。南アフリカランドやインドルピーを始めとして、「新興国」と名の付く通貨が軒並み売られる事態となりました。メキシコペソもその通貨の一つです。結果、メキシコペソは対円で6.0円から下値5.7円までに下落しました。
新大統領就任で対立が深まる恐れも
こうした米国との対立は、トルコに始まったものでもありません。メキシコやカナダもNAFTA再交渉が滞っているなど、米国との対立が深まっている事情があります。
特にメキシコの場合、次期大統領がナショナリスト志向の強いオブラドル氏に決まっています。同氏を含め、当時の候補者からは選挙活動中から対米関係を悪化させる発言が頻繁に飛び出しています。その中でも一番、語気の荒かったのが左派のオブラドル候補で、国民はこの人物を次期大統領に決めました。
この点、気になるのが大統領就任後の対米関係です。既に就任前から政策の焦点となっている「トランプ大統領との付き合い方」をどのようなスタンスで臨むのかが為替レートの上下にも影響してくることでしょう。前評判では強硬姿勢が強いとの噂が市場では出回っています。今回のトルコショックがメキシコに波及した値動きは、実にそのリスクを織り込んだ結果であるとも言えます。
大統領就任前なら良い押し目
以上のリスクを踏まえると、年初から予想していたメキシコペソの値動きシナリオに多少の修正を加える必要があるかも知れません。以下は、管理人が年初に示したメキシコペソの値動き予想です。
幸いにも、大統領選挙前後の値動きは予想通りの結果となっていて、現在のメキシコペソは選挙前よりも上がっています。ただ、大統領就任前後で少し波乱の動きがあるかも知れません。具体的には、米国との対立リスクを懸念した売りが発生する可能性です。
ただ、悪いことばかりではありません。現在のメキシコペソは急激に買いが進んだ結果、乗り遅れている投資家がほとんどでしょう。特にNAFTA再交渉が期限切れを起こした際の市場は売り一色で、とても買える雰囲気ではなかったことも事実です。この点、トルコショックというメキシコとは無関係なイベントで売りが入ったことは買いの好機を生んでいますし、今後の政治イベント下がるようなら将来的に「良い押し目」となるとも考えます。
幸いにも、メキシコ経済は米国の好景気に引っ張られて好調です。経済と無関係な政治イベントで売りが入るようなら、好景気を背景に買いで入れば面白い展開になると予想できます。是非、いまのうちに準備を行っていただきたいと思います。
メキシコペソのスワップ運用に興味のある方は、以下の記事も参考にしてみてください。
※本記事は管理人の主観に基づく内容が多く含まれる文章です。FXはリスクがあり、自己責任の判断が必要な投資分野です。ご自身の判断に基づき、投資の有無を検討してください。
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