メキシコペソが下落を始めました。アメリカがEU、カナダ、そしてメキシコに鉄鋼とアルミの関税を適用したのです。
それまでの貿易協定では、互いに関税を除外する関係がありました。しかし、貿易赤字国に厳しい姿勢を続けてきたトランプ大統領。とうとう実力行使に出たというニュースが流れたという次第です。
今回は、メキシコ経済への影響と為替レートの動向を考えていきたいと思います。
- 貿易交渉の長期化リスクが強まる
- それでも大統領選後にメキシコ投資のチャンス
- メキシコペソのチャート分析6月
貿易協定交渉の長期化リスクが強まる
冒頭に書いた通り、とうとうトランプ政権が貿易赤字国に実力行使を図りました。第一弾は、鉄鋼とアルミニウムへの関税適用です。兼ねてから、アメリカの産業保護政策を掲げていたトランプ大統領ですが、その政策実行の最初のステップが踏まれたという次第です。
これで困るのが、メキシコを始めとするアメリカへの輸出国です。メキシコは鉄鋼とアルミの貿易量こそ少ないものの、その余波が懸念されます。というのも、今後の貿易協定の交渉において、他の輸出品目にも関税措置が波及するリスクが出てきたためです。
特にメキシコは、銅の生産が非常に高く、世界の銅生産の約80%を占めています。アメリカへの輸出量も多い訳で、鉄、アルミと来て、次に銅に関税適用となると貿易黒字の低下からは逃れられません。当然ながら、メキシコ側も黙っている訳はないのですが、アメリカとの交渉が折り合わない可能性が多々あります。必然的に、NAFTA再交渉に続く貿易協定の見直しも長期化のリスクにさらされる結果が予想されます。
こうした連想的な思考がマーケット参加者の多くに生まれたことでしょう。メキシコペソはリスクオフの売りが出た訳です。2018年の5月も終わりのバッドニュースとなりました。
それでも大統領選後にメキシコ投資のチャンス
そんな売り圧力にある中で、期待のできるニュースもありました。世界の投資家が大統領選の後はメキシコ投資のチャンスだとヒアリングに回答したのです。チャンスだと回答した機関投資家やヘッジファンドは全体の52%。野村グループが独自に調査し、その結果が英FinancialTimes紙のニュースに掲載されていました。
確かに、現在のメキシコは大統領選挙を前にして、リーダー不在の状況です。それゆえに交渉もまとまるはずがなく、長期化している事実があります。しかし、相場は期待で買って、事実で売るもの。7月の大統領選挙を前にして、そろそろ次のアクションを考える時期がやってきました。
上記は、管理人が年初に予想したメキシコペソの値動きです。6月の現在、おおよそ予想通りの値動きをしています。また、前述のアンケートから導き出される「選挙後に買い」という結論とも、合致しているのではないでしょうか。選挙の後に来る新政権、新リーダーへの期待の買いを逃さす収益に変えたい所です。
メキシコペソのチャート分析6月
そのような訳で、今回の記事ではアメリカとの関係を軸に、今後のFX動向を考えてみました。最後にチャート分析を解説したいと思います。
先日の記事でも書いた通り、現在のメキシコペソはテクニカル的に売りの場面です。おおよその到達レートは、ドル・メキシコペソでUSD/MXN=24.0、メキシコペソ円でMXN/JPY=5.4辺りであると考えます。
今月6月は、メキシコペソ円にとって更に波乱の時期になると考えます。特に大統領選挙を前にして、先行きの不透明さは市場参加者にとって大きなリスクです。しかし、前述の通り、選挙の後にはメキシコ投資の大きなチャンス。下落したところをうまく捉えて収益につなげていきたいところですね。
メキシコペソの長期投資に興味のある方は、以下の記事もご覧ください。スワップ運用の魅力について語っていますよ。
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