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アメリカ中間選挙とメキシコペソの関係

米国中間選挙がメキシコペソに与える影響【シナリオ分析】

最近になって、アメリカの中間選挙がニュースでも話題に上がるようになってきました。トランプ大統領率いる共和党が勝つのか、民主党が下院を奪回するのか気になる所です。

さらに気になる点が隣国メキシコへの影響です。トランプ政権がレームダック状態となればメキシコにはプラスでしょう。国境の壁や関税障壁といった保護政策が打ち止めとなり、メキシコ経済にとって良い方向に働きそうです。

そのような訳で、今回は米中間選挙がメキシコペソに与える影響を考察したいと思います。

  1. 2018年アメリカ中間選挙の焦点
  2. 中間選挙の内容とメキシコペソのシナリオ
    • 共和党が過半数を占めた場合
    • 民主党が下院を独占した場合
  3. メキシコ新大統領と一悶着の可能性も

2018年アメリカ中間選挙の焦点

最初に中間選挙のポイントについて解説しておきましょう。

2018年に行われる中間選挙はトランプ政権の実効力を決める選挙になります。現在、トランプ大統領の属する共和党は上院・下院共に過半数を占め、議会を支配する立場にあります。そのため多数決で圧倒的に有利であり、トランプ大統領は多少無茶な政策でも実行に移すことができるのです。

そんな上院・下院の議席が一部入れ替わるのが中間選挙です。

ただ、上院に限っては改選議席が少なく、共和党支配の構造が変わらないと見られています。この点、今回の中間選挙でポイントになるのが下院です。100議席中35席が変わる大入れ替えとなるため、民主党の下院奪回が十分視野に入ります。

もし民主党が下院の支配権を奪回すれば、上院・下院で拮抗状態が発生します。その場合にはトランプ大統領の政策実行力は失われます。いわゆる「レームダック状態(死に体)」です。トランプ政権にとっては、今回の中間選挙が生死を賭けた一大事となる訳です。

中間選挙の内容とメキシコペソのシナリオ

中間選挙の焦点が分かった所で、メキシコペソに与える影響を考えましょう。

従来、トランプ政権は実行力に任せてかなり無茶な要求をメキシコに突き付けてきました。国境の壁然り、NAFTA再交渉然りです。ですので、メキシコにとって安心材料となるのは、トランプ政権がレームダック状態になることでしょう。民主党が下院を奪還すれば実現します。

そのような訳で、以下には共和党勝利、もしくは民主党勝利のシナリオに分けて、メキシコ経済に与える影響を考えていきましょう。

共和党が過半数を占めた場合

トランプ政権勝利のシナリオがこちらです。従来通り、トランプ大統領が率いる共和党が上院・下院の両議会を支配できれば、政権の実効力は生きたままとなります。

その結果、トランプ大統領は今まで以上に諸外国に圧力を掛けるのではないか・・・とは考えていません。というのも、従来ほど支持率を気にする必要がなくなるからです。

トランプ大統領は、どうにも内側の不満を外に向けるべく、諸外国に無理難題を吹っ掛ける傾向があるようです。要は国民のご機嫌取りである訳で、もし中間選挙を無事通過すれば、諸外国への手綱を緩めると管理人は考えています。

勿論、トランプ大統領に2期目を勤める気があれば、2019年から2020年に掛けて選挙キャンペーンは実施するはずです。しかし、その場合に重要なのは実績です。外交問題でトラブルを起こしている場合ではないでしょう。2期再選に必要な要素は「何を成すか?」ではなく「何を成したか?」という事実です。

そのような訳で、中間選挙が無事通過すれば、トランプ政権も少しは大人しくなると考えます。メキシコにとってはベストな選択肢ではないものの、今よりはベターな結果になると考えます。

民主党が下院を独占した場合

トランプ政権が負ける場合のシナリオです。民主党が下院で過半数を占めれば、上院とのねじれ議会が発生します。結果、トランプ政権の法案が通過しにくくなり、実行力が失われます。いわゆる「レームダック状態(死に体)」です。

諸外国にとって面倒なのは、こちらのシナリオかも知れません。支持率アップを意識して発言がヒートアップする可能性があります。下手をすれば戦争沙汰を起こすかも知れません。当然、為替市場もトランプ発言に左右されますから、相場が読みにくくなる危険性があります。

もっとも、長い目で見るとメキシコにとっては良いニュースとなりそうです。トランプ大統領の無茶な外交政策が無効化されるからです。国境の壁は建設中止となり、追加関税という新たなプレッシャーもなくなります。こうした点で、経済的なプラス材料となるのはトランプ政権が中間選挙で敗北した場合だと考えます。

メキシコ新大統領と一悶着の可能性も

メキシコでは年明けから新大統領が誕生します。先日の大統領選挙で勝利したオブラドル新大統領です。同氏にとっても米国の中間選挙は大きなイベントになります。新政権立ち上げと同時に必要となる政策が変わってくるためです。新政権にとっても、隣国アメリカからのプレッシャーは避けては通れません。

特に気になるのが、新政権の外交政策です。オブラドル新大統領はタカ派ですから、トランプ大統領の出方次第で外交問題のリスクが高まります。繰り返しになりますが、メキシコにとって米国は大事な経済パートナーです。できれば両国が協調体制で経済活動を進めることが望まれます。

可能であれば、やはりトランプ大統領には中間選挙で負けてもらう方が良いのかも知れません。トランプ大統領は相も変わらず毒舌口調で挑発するでしょうが、無茶な外交政策は打てなくなります。メキシコ側にとっても、相手の実行力がないと分かれば余裕のある外交政策を巡らすことができます。

以上の通り、今回は米国中間選挙の話題を取り扱ってみました。もっとも、中間選挙のキャンペーンはまだ始まったばかりです。今後の動向については、まだまだ日々のニュースを注視していきたいところですね。弊サイトでもウォッチしていきたいと思います。

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