メキシコペソのFXトレードにおいて、NAFTA交渉の進展度合いは為替レートの明暗を分ける重要なファンダメンタルズ要因です。メキシコにとって、NAFTA交渉はリスク要因。NAFTA分解で被害を受ける立場であるためです。
そのような訳で、メキシコペソのFXチャートはNAFTA交渉のリスク織り込み度に大きく左右されています。基本的にリスクファクターの出現で下げ、期待が生まれてペソ買いという傾向があるようです。以下に詳細を解説していきます。
- NAFTA交渉の重要性
- トランプ発言とペソのFXチャート
- 事実で売られて期待で買われる
NAFTA交渉の重要性
米国、カナダ、そしてメキシコの間でNAFTA交渉が進んでいます。次回、2018年1月下旬から行われるのは、NAFTA交渉のファイナルラウンド。この交渉の進展次第で、米国のNAFTA離脱が決まります。
NAFTAとは、前述の3カ国で結ばれた貿易協定のことです。互いに隣接して位置しているため貿易協定を結ぶ地学的なメリットが強く、長年、北米を結ぶ最大の貿易協定として機能してきました。
ところが、この協定にクレームを付けたのがトランプ大統領です。トランプ政権は、貿易協定は2国間で結ぶべきであり、従来の協定は見直しを計るという方針を持っています。NAFTAも例外に漏れず見直しの対象となり、FX業界でも重要ファクターとして取り上げられている次第です。
トランプ発言とペソのFXチャート
メキシコにとって面倒な点が、米国のNAFTA離脱です。このリスクが具体化した場合、NAFTAは事実上の崩壊。メキシコはNAFTAで貿易黒字を上げる側の国ですから、大きな被害を受けることでしょう。このリスクを懸念して、NAFTAに関する材料が出る度にメキシコペソは下落しています。
具体的には、トランプ大統領のNAFTA交渉に関する発言です。前述の通り、同大統領はNAFTAを好ましく思っていません。特に米国の貿易収支は対メキシコで大きな赤字を出しているという事情もあります。結果として、メキシコとNAFTAに対してマイナスの発言しか飛び出しません。
メキシコペソのFXチャートはトランプ発言に絡んで上記のような結果になります。直近では、トランプ大統領のNAFTA批判の発言で下落。メキシコペソは1週間で5%も下落する事態となりました。
事実で売られて期待で買われる
ペソが売られるのは悪いことばかりではありません。FXは結局の所、安く買って高くうることがポイントです。今回のトランプ発言で下落した所は、良好な買いポイントでもありました。ペソ円のチャートを見返すと、既にリバウンドが始まっていることが分かります。
リバウンドの理由は、NAFTA交渉に対する「期待」です。現在のメキシコペソは、長く続いた下落トレンドで十分な割安感が出ています。そこへ来て下落となっても、利回りの良い新興国投資に賭けるファンドが買いにくるのです。
要は、メキシコペソにとってNAFTA交渉というファンダメンタルズ要因は「(トランプ発言という)事実で売られて、(割安感という)期待で買われる」材料であると言えるでしょう。今後もこの調子で材料が出尽くすまで、良い買い所になると考えます。
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